夏休みの読書感想文はなぜ減った?今あらためて考える読書感想文の意味⑨
2026/09/10
第9回 それでも読書感想文から学べることはある
前回は、「読書感想文は本当に必要なのか?」というところまで踏み込んで考えてみました。
年に一度、長い文章を書くことが本当に効果的なのか。
保護者が手伝うことで、本人の感想文ではなくなってしまうことはないのか。
そして、いつの間にか「提出すること」が目的になっていないか。
こうして考えると、昔と同じ形で読書感想文を続けることが、本当に一番よい方法なのかは考える余地があります。
それでも私は、読書感想文という課題の中には、今の子どもたちにも大切にしてほしいものがあると思っています。
【本を読んで終わりではない】
普通に本を読むのであれば、
「面白かった」
「楽しかった」
で本を閉じても構いません。
しかし読書感想文では、その先があります。
「どこが面白かったのだろう」
「なぜ自分はこの場面が気になったのだろう」
「この本を読む前と読んだ後で、自分の考えは変わっただろうか」
本を読んだことで生まれた気持ちについて、もう一度自分で考えることになります。
ここに読書感想文ならではの意味があるのではないでしょうか。
【正解のない問いについて考える】
算数の計算問題であれば、基本的には正解があります。
しかし、同じ本を読んでも全員が同じ感想を持つわけではありません。
ある登場人物の行動を「素晴らしい」と感じる人もいれば、「自分ならそうしない」と考える人もいるでしょう。
どちらかが正解というわけではありません。
大切なのは、
「自分はこう思った」
で終わるのではなく、
「なぜ自分はそう思ったのか」
を考えることです。
自分の考えと向き合うことも、読書感想文の大切な部分だと思います。
【考えたことを相手に伝える】
さらに、自分の頭の中で考えただけでは、相手には伝わりません。
何を伝えるのかを選び、順番を考え、言葉にする必要があります。
「自分ではわかっている」と「相手に伝えられる」は同じではありません。
読書感想文では、
本を読む。
そこから何かを感じる。
なぜそう感じたのかを考える。
自分の考えをまとめる。
そして、相手に伝える。
この一連の経験をすることになります。
【読書感想文を残すことが目的ではない】
だからといって、「昔のように全員が読書感想文を書くべきだ」と言いたいわけではありません。
学校教育も、子どもたちを取り巻く環境も変わっています。
宿題の形が変わっていくことも自然なことだと思います。
ただ、読書感想文が減っていくのであれば、その中で子どもたちが経験していたものまで、一緒に減らしてしまってよいのか。
そこは分けて考える必要があるのではないでしょうか。
大切なのは「読書感想文」という宿題そのものではなく、
一冊の本と向き合い、そこから自分なりに考え、その考えをまとめて誰かに伝える経験。
読書感想文について改めて考えてみると、残したいのは、この経験なのかもしれません。
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